ゆだねる  亜都子
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                                「仙人草」        山口 亜津子・撮影
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            こぼれ花№15-3・会員作品
沙羅の木の白にこころを覗かれる
    荻野 浩子 (堺市)
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ダブルブッキングこんなに暇なのに
    毛利 由美 (つくば市)
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花立てに思い出を挿す亡母を注す
    久保田 眞子 (高知市)
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ポイント5倍それほど気にはしていない
    西澤 知子 (橿原市)
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茹でられて蛸は自分の色を知る

    板垣 孝志 (大和高田市)
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あきらめず今日もしっかり洗います
    上田 ひとみ (三田市)
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眠るまで涼しい丸が並んでる
    ひとり静  (大和郡山市)
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無精卵抱くテロの哀しみ
    森吉 留里惠 (柏原市)
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わたくしは猫セクハラは許さない

    句ノ一 (伊豆の国市)
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源流を辿ると森の一雫

    佐藤 辰雄 (奈良・川西町)
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散水車ただそれだけで好きになる

    山口 亜都子 (三重・御浜町)
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実をつけぬ桜の花の満足度
    日下部 敦世 (松戸市)
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見る人が見ると穴だらけの男

    那須 鎮彦 (五條市)
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ふる里は遠く鬼灯手のひらに
    福田 道子 (天理市)
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形見分け情熱の夏もらいます

    南 芳枝 (五條市)
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行列に並ぶ俺ってなんだろう

    鶴本 むねお (下市町)
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 エッセイ

   ゆだねる  山口 亜都子

 神様の夢を見たことが今までに三度ある。一
度目は十字架上のキリストのレプリカが出て来て
「それを白い布で磨きなさい」と命令された。二
度目は「おまえのラッキーカラーは紫である」と
言われた。お告げである。(やや下世話だけれど、
なにか色の選択で迷う時は紫にしている)共に声
だけなのである。
 さて、三度目。螺旋の滑り台を急降下でおりて
ゆく。奈落の底か地の底か、このまま気を失うか
と思った。ああ、死というものはこういうことで、
今まさに死んだんだなあと思った。心身共に疲弊
の極みにあった。原因不明のきつい頭痛で眠れな
い。眠れないと言っても、人はどこかで眠ってい
るものだと最後にたどり着いた漢方医は言った。
それまでの安定剤を切ることを勧められ、漢方薬
を処方された。自分に出来ることとして、水泳が
この時から日常に組み込まれた。からだを疲れさ
せるしか方法は見つからなかった。血圧は上下低
すぎたり高すぎたりの異常値。通常なら泳ぐこと
など無茶なことだ。けれども、不思議に水の中だ
けは痛みがなかった。特に悩みなどがあったわけ
でもない。(解決しているというのは、その時の私
の思い込みだったかもしれない)ただ強烈な痛みが
現実に消えないのだった。人相も歪んできたよう
な気がして、唯一の外出、プールに行く時はサン
グラスを掛けた。その頃の夢なのだ。
 「ここに私が居ることを忘れてはいけない」
 ふわりと両足に横抱きにされた。この夢に限っ
て声以外にその腕の感触がある。聞き覚えのない
男の声であるのは、三度とも共通している。年齢
は若者ではなく中年から老年。
 入り口は出口に変わる飛び出そう
拙句。まったくの余談で、自句の披露をお許しい
ただくとして、その同時間に出来た句。時実新子
さんの目に留まった句でもある。(好きな句ではな
いけれど、どん底の時の句ということで、時実新
子のすごさを思う。)
 この夢は夢であって、でも現実のいろいろなこ
とより忘れられない。自分を越えた大いなるもの
に「ゆだねる」。この夢から自分の病にたいして
も腹が据わったような気がする。小人なので、
「その据わり」も時とともにぐらぐらはするのだ
けれど。
 ここ何年か神様の夢を見ていない。夢に登場する
必要を感じないのだろう。わたしの些細なことなよ
りはるかに大きな心配がおありなんだろうと思う。
そんな昨今である。
             亜津子はな
    


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こぼれ花散策
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                   キャプチャ
                    (前号作品から抜粋) 板垣 孝志
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 とがってるとこが一番かなしいの    静

 金平糖の先ぐらいなら可愛いのだが、鉛筆の芯、
痛風の結晶、シャボテンやバラの棘は「かなし
い仲間」だろう。一番気の毒なのはバラの棘、花
や種を守る為に頑張っているのに邪魔者扱い。
 人間の社会のもあるのだが・・・。
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 洗ったら甘噛みをしたスニーカー    由美

 言葉が話せないペット達は嬉しい時に甘噛みを
してくれる。ちょこっとだけ痛いが感謝の気持ち
ならば許そう。洗って貰ったスニーカーもお礼に
甘噛みをしてくれたが、ちょこっとだけ痛い。
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 誕生日など生まれた日しかないのです。 知子

 作者はすっかりオカンムリのようです。昭和生
まれの女性に誕生日の話はタブー。月と日にち
が同じくらいで騒がれたらかなわん!
 だいたい女性は四十八歳から歳は取らないのだ。
でもねえ今年は昭和に直すと九十一年。
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 親の描く絵を抜け出して一輪車     辰雄

 自転車の三角乗りで育った世代に一輪車はサー
カスのピエロが乗る物との認識がある。
 あのような危ない物に跨るとは何事であるか!
無難な人生を過ごして欲しいと願う親心も、子供
が乗りこなす。一輪車ごときにさえ負ける。
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 無いけれどここに存在示すゼロ     敦世

 ゼロは数字ではなく記号だそうだ。ゼロを発見
したのはインド人。さすがに二桁の掛け算九九を
こなす民族である。いまや人間の知能を脅かすほ
どの力を持ったコンピューターでさえも、基本は
1と0の組み合わせなのだから、どれほど凄い発
見だったかが判る。無いけれど在る。ドーナツの
穴はその代表格。
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 おしえてときけば教えてくれるから  ひとみ

 百万部を越すベストセラー「なぜ生きる」を
読んでみたが、それらしい答えは見出せなかった。
お釈迦さまでも判らないことなのか、こちらの続
解力が足らないのか?たぶん後者なのであろうか?。
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 しあわせを数える為の十の指     亜都子

 戦後の日本人は物を手に入れるために必死で働
き、やっと手に入れた洗濯機が回った時、幸せを
感じた。テレビが初めて届いた時歓声をあげた。
今これだけ物が溢れても満足感がない。
 物が揃えば幸せの筈がなぜだろう。人間の指は
煩悩と同じく百八本も要るのであろう?

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残んの月が杜甫を吟じる        留里惠

 明け方の空に消え残る月を「のこんのつき」と
呼ぶ。”国破れて山河あり城春にして草木深し”
 憂愁の時を吟じるのは明け方の月、その眼下に
映るのは石垣の崩れた熊本城なのか福島第一号原
発の残骸なのか・・・。
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 黄葉で散ろうか紅葉で散ろうか    一笑

 終活や断捨離という言葉が流行る。高齢者が増
えすぎて対策が追い付かない。高齢者はゴキブリ
のように一気に湧いた訳ではないのにこのざま、
見通しの悪かった役人の職務怠慢であろう。
 黄葉のままで惜しまれながら息絶えるか、大往
生と呼ばれて紅葉で消えるか。
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 あなたソレ婦人体温計ですよ     句の一

 シャツは裏返しパンツは前後ろ、着衣に頓着し
ない男も居る。むかし男ばかりの寮に居た頃パジ
ャマズボンのボタンを失くし、学生服の金ボタン
で代用していた友人が居た。しかも二つ。
 彼ならば口に咥える婦人用の体温計でも脇の下
に挟んでしまうだろう。
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 天変地異 命の水は日を刻む     眞子

 人は水だけで二十日ほど生きられるが、水が無
ければ四日ほどで死ぬという。被災して飲み水が
日毎に減ってゆく恐怖。正しく命を刻む恐怖であ
ろう。作者は太平洋に直面した高知県の方、台風
の被害に遭うことも多いが早魃の年もあった。
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 MCIシートにチエックを入れる愉しさ むねお

 軽度認知症害のマークシートで自分のボケ具合
を調べる。これが意外とおもしろい。
 「今日は西暦何年何月ですか?」
アハハこれぐらいは分かる。バカにするな。とこ
ろが「平成に直しなさい」即答出来たら公務員。
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                                                イラスト (13)

                                           せんりゅう愚論    
                                                                     
               センセイだらけ  むねお


 巷ではこの頃、否、かなり前から「先生」とよば
れる人類が氾濫する。公民館へ行っても、地域の小
さな集会所でも、やたらセンセイが多いのには少な
からずうんざりである。カルチャーセンターに通っ、
て、少しだけ皆よりよく出来ればすぐセンセイにな
れる。果ては町村議会議員も立派にセンセイ呼ばわ
りされる。そして当の本人はご満悦で、当然のよう
に闊歩する。総ての人はそうだとは言わないが、そ
んな光景が顕著である。
 そこで川柳界に」目をやってみよう。ご多分に漏
れずと言おうか、川柳を始めて数年の人が、おそら
く優秀であろうが、川柳講座なるものの講師として
早くもセンセイにおさまっている。それは立派だと
しても、先生と呼ばなければご機嫌斜め、という人
には全く困り果てたものである。
 先生とは元来、学校の先生やお医者さんなど、特
定の職域にある人に使われる呼び方であった筈だ。
猫も杓子もセンセイにしてしまう風潮は一体どうし
たことか。たしか日本語には最も親しめる、「さん」
づけがあるはずではなかったのか・・・。
                 (むねお記)












       

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    もうすぐ誕生日 荻野浩子

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             金沢兼六園        むねお・撮影

             
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                                                   こぼれ花№15号ー1・会員作品
              線つた


 路地裏を抜けるとおもしろい風に
   
    荻野 浩子 (堺市)
  こぼればなillust444
 朝ドラに朝っぱらから泣かされる
    毛利 由美 (つくば市)
  こぼればなillust444
 月の鎌 女が脱皮する最中

    久保田 眞子 (高知市)
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 咲く前に注文つける花である

    西澤 知子 (橿原市)
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 遠いなあ缶コーヒーを手渡して

    板垣 孝志 (大和高田市)
   こぼればなillust444
 想い出のスキップ少しぎこちなく

    上田 ひとみ (三田市)
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 ペンより速く走るつぶやき

    森吉 瑠里惠 (柏原市)
   こぼればなillust444
 花束にされる違和感持ったまま

    ひとり静 (大和郡山市)
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 尻向けて日だまりの猫みな素数

    句ノ一 (伊豆の国市)
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 人間をじっくりと見る昼の月

    佐藤 辰雄 (奈良・川西町)
   こぼればなillust444
 マッチ売りの少女しあわせだったりする

    山口 亜都子 (三重・御浜町)
   こぼればなillust444
 葉脈をたどれば原始の海が見え

    日下部 敦世 (松戸市)
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 幸せを画く百色のクレヨン画

    那須 鎮彦 (五條市)
   こぼればなillust444
 想い出が濡れるひとりの花手桶

    福田 道子 (天理市)
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 白ゴーヤ遠距離切符買いました

    南 芳枝 (五條市)
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 心音の幽かに人を恋うるとき

    鶴本 むねお (下市町)
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  もうすぐ誕生日   荻野 浩子

 七月生まれの獅子座、猛暑の真っ盛り。食べる
ことに必死だった戦時下、誕生日を祝ってもらっ
た記憶がない。けれど、誕生日が来るたび早く大
人になりたいと思っていた。存在感があった母の
背中にあこがれていたから・・・。誕生日を意識
して考えるようになったのは、家庭を持ってから
のことである。
 生まれた年月日時間から運勢を占う四柱推命や、
九星易学に凝っていた親友がいて、行き詰まった
ときによく助言をもらっていた。「誕生日をひと
つの区切りとして考えると、焦ることはない。七
月生まれの辰年は、昇り竜だから、誕生日過ぎる
と風が変わり、やる気が湧いてくるよ!。運気上
昇の竜なんだから・・・」と。そのひと言に、ど
れだけ癒されたことか。単純な私は、おまじない
のように彼女の言葉を信じて、上昇運の風を待っ
ていた。平和な時代だったが、なつかしい。
 二十数年前、夫の病気、三人の子育て、親の介
護や民生委員、親戚の付き合い、兄妹の急逝。身
体を休める暇もないほど頑張っていた時期が私に
もあった。
 そんな時、易学に凝っていた彼女の助言が、ど
れ程私に力をくれたことか。人として生まれたと
きからの遺伝は、変えることはできない。自分の
持って生まれた星をよく理解して逆らわない。無
理をしない。焦らないなど・・・。四柱推命も統
計だが、驚くほど当たっていた。
 考えてもどうにもならないのに悩むことがばか
ばかしく思えた。へこたれそうな時でも誕生日が
過ぎると機運が変わるんだと、自分に言い聞かせ
て頑張れた。お蔭で身体を病むこともなく、やる
べきことはやって、後はケセラセラ。大変な時期
を無我夢中で駆け抜けた。今、大笑いしたことし
か頭に残っていない。
 四コーナーの誕生日は目前。しょぼくれていな
いか、感謝を忘れていないか。相手の気持ちにな
って少しは考えられるのか。心の若さを見直す時
間としている。意識してうれしい言葉を、笑顔を
添えて周りの人にささやけたら嬉しいなと思って
いる。             
浩子
  浩子様お誕生日おめでとうございます 。つゆ草 (2)


    
プロフィール

よしのすぎ

Author:よしのすぎ
 柳壇【こぼれ花】

連絡先・奈良県吉野郡下市町
☎・FAX 0747-52-0132
  鶴本 むねお 


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