ロスタイム 山口亜都子

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                                       東国山・大道芸        撮影・T
     
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              柳壇こぼれ花 № 18-6 
 
        こぼればな3

新しいページへ凍て蝶がひらり

   荻野 浩子 (堺市)
こぼればなillust444 
未生なるすべてのために平であれ

   山口 亜都子 (三重・御浜町)
こぼればなillust444
出すぎる杭で誰からもたたかれず

   西澤 知子 (橿原市)
こぼればなillust444
世に疎く独り遊びに慣らされる

   板垣 孝志 (大和高田市)
こぼればなillust444
歓声が遠い組み体操の脚

   句ノ一 (伊豆の国市)
こぼればなillust444
柿たわわ期待通りの答えです

   ひとり静 (大和郡山市)
こぼればなillust444
ストレートに言えば毒舌だと言われ

   毛利 由美 (つくば市)
こぼればなillust444
ゆっくりと完成させるつもりです

   上田 ひとみ (三田市)
こぼればなillust444
孵化した夢とパッと眼が合う

   森吉 留里惠 (柏原市)
こぼればなillust444
振り切ってしまえば君を指す磁針

   山崎 夫美子 (大和郡山市)
こぼればなillust444
畳み皺伸ばして逢いにゆくネイル

   久保田 眞子 (土佐市)
こぼればなillust444
不器用に終点目指す男の賦

   佐藤 辰雄 (奈良・川西町)
こぼればなillust444
GPSつけてみました僕の猫

   日下部 敦世 (松戸市)
こぼればなillust444
百色の人生論が和を温め

   那須 鎮彦 (五條市)
こぼればなillust444
初釜へ一服いかが亡父に問う

   南 芳枝 (五條市)
こぼればなillust444
忘れなさいチューリップの芽が出たよ

   鶴本 むねお (下市町)
こぼればなillust444 

こぼればな3 


                               イラスト (33)
エッセイ

   ロスタイム   山口 亜都子

 空費した時間、無駄にした時間。サッカーやラ
グビーの試合で負傷者の手当の時間など、競技時
間に勘定しない時間。主審の判断で、その時間の
分だけ延長する。
 「還暦」以降はこういう時間のような気がする。
子育ても終わり、それぞれ配偶者を得れば、もう
親の役目は終わっている。振り返れば、育児とい
う試合もあった。その前に恋愛、婚姻などもあっ
た。さしずめ、ボールが子供二人であったかもし
れない。生まれてからと思えば思春期からの「恋」
などもあった。(甲斐のない泥仕合で傷だらけで
あったなぁ、)この時間が一番のロスタイムであ
ったと思う。ラグビーボールのようにおかしげな
回転をする。一筋縄では行かなかった。まぁ参加
で出来た選手であっただけのことで、「敢闘賞」
ぐらいはいただけるかな、ちなみに、自句の恋愛
句を読んで、「ねぇねぇ、何人ぐらいの人と付き
合った?白状しなさい」「・・ウゥーン、そうだ
ね」と目を宙に浮かせ指を折る。右手が終わり、
左手に移る頃には「貸したろ」などという声が聞
こえて来る。(それぐらいの芝居、サービス精神
は私にもある。)「片手ぐらいだよ」ということ
にしておく。
 さて、これからのそのロスタイムの使い方であ
る。やっぱり訪問ヘルパーという仕事。それを芯
にして、川柳と絵。
 神様にいただいた時間というのは、生まれ落ち
たときからそうだろう。走り切ったという実感も
ある。これからはあまり嫌なこと、向かないこと
はしないようにと思う。今までもそうでだったけ
れど、それをもっと強く意識させたい。つまり、
人が恋しいというのもほんとうだけれど、どうも
苦手だなということも、
裏腹にあるので、自分からはなるべく求めないと
いうこと。ロスタイムこそ大事な貴重な時間であ
る得手不得手で、気難しいのかもしれないこと、
この頃の人との関係を見ると思う。仕事でかなり
濃密な時間を老人と持っているので、若手、同年
代はあきらめよう。そこまでエネルギーがないよ
うである。結局、ひとりの時間が気楽なのである。
 ロスタイム。もう、コートの外に出てもいいと
いうことだろう。走ってもいいが歩いてもいい、
立ち止まってもいい這ったっていいのだ。まぁボ
ケない程度にボォーとしたい。「自由」である。
とにかく、試合の邪魔をしないように、それだけ
である。それも終わり、いつかは終了のホイッス
ルが響く。観客席に着く。両隣には両親が座って
いる。「やっぱりおまえの試合が一番面白かった
よ。よくがんばった」と父が言う。「前半戦はハ
ラハラしましたけど、後半はわりに揚気に観てま
した。お疲れさまでした。今日からはあなたと一
緒の観戦で楽しいわね」と母。
 コートには娘や息子がただいま奮戦中である。
怪我をしないように、休憩時間にはきっちり休み
水分を充分に摂るように、負けるのはしょうがな
いけれど、途中でなげないでとわたしは祈ってい
る。             亜都子
こぼればな3
せんりゅう愚論 


  ぬくい座席    むねお記


新聞やテレビを見る度に殺伐な事件や不吉な出
来事ばかり溢れている昨今。聴取者が主人公に
なれるラジオ放送が脚光を浴びているという。
 ラジオならでは、のリスナーの話題が好きな  
わたし、例によって過日ちょっといいお話を耳
にした.
 とある電車内の出来事。二人連れの年配女性が
乗り込んできたが、あいにく座席が一つしか空
いてなかった。仕方なく一人が立ったまま居る
と、少し離れた席から声を掛けられ、座席をゆ
ずられた。そして次の駅で都合よく、先に座っ
た女性の横に席が空いたので、「こっちへおい
で」と呼ばれたが、「わたし、この席がいい」
と言って立とうとしなかった。
 座席を替えなかったこの女性の気持ちが良く
分かるし、ゆずってくれた女性に対する彼女の
思いやりが理解できて、それを目撃した周辺の
人の気持ちまで推察される実に美しい光景であ
った。
この小さな物語に惹かれると同時に、わたしは
すばらしい川柳を感じてしまったのである。
               むねお記
線さくら4















奈良きたまちの慕情
             DSCN1654 (Custom)
               (我が家の、ミニ庭園)     T・T
        「紅葉にも、雑草にも、春が来たようです。」
                   koborebananokai.gif
   柳壇こぼれ花№ 5 会員作品
線さくら3 (2)
おとがいの梅干し文句ありそうだ

   荻野 浩子 (堺市)
こぼればなillust444
キリストは遠い親戚釈迦は叔父

   山口 亜都子 (三重・御浜町)
こぼればなillust444
秘伝のタレ夢がかなった焼鳥屋

   西澤 知子 (橿原市)
こぼればなillust444
紙おむつ嗚呼人間の水周り

   板垣 孝志 (大和高田市)
こぼればなillust444
ご来光仰ぐ迷子の宇宙人

   句ノ一 (伊豆の国市)
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洛中のところどころがジュラルミン

   ひとり静 (大和郡山市)
こぼればなillust444
リハビリは時間薬に勝つ薬

   毛利 由美 (つくば市)
こぼればなillust444
夢の中いつも私はあのまんま

   上田 ひとみ (三田市)
こぼればなillust444
曲線で来る春のハミング

   森吉 留里惠 (柏原市)
こぼればなillust444
悲しみをなぞる絵の具の青がない

  山崎 夫美子 (大和高田市)
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結露抜く 夫婦の灰汁は冷たいな

   久保田 眞子 (土佐市)
こぼればなillust444
喉まで出た余計な言葉持ち帰る

   佐藤 辰雄 (奈良・川西町)
こぼればなillust444
決心がつかぬ私へ発車ベル

   日下部 敦世 (松戸市)
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政治家の舌は真っ赤な嘘をつく

   那須 鎮彦 (五條市)
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左手を差し出し命乞いをする

   南 芳枝 (五條市)
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砥いでも砥いでも頂上は遠い

   鶴本 むねお
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エッセイ      cof103.gif

  奈良きたまちの慕情  荻野 浩子

 紅葉の赤もまだ少し残っている師走、ポカポカ
陽気に誘われて、友ふたりで奈良きたまちのぶら
り旅をした。近鉄奈良駅からきたまち花芝商店街
を抜けて、奈良女子大の威風ある記念館を見学し
た。女子大生の華やかな会話や、笑い声に青春を
重ねながら・・・。そして、学食のサービスまで
受けた。安くて旨い。品数が多くて量もたっぷり、
食欲をそそる学生の気分になりきって、女子大を
後にした。佐保川を眺めて、聖武天皇、光明皇后
の御陵へ参拝した。
 誰ひとり通らない長閑なきたまちの雰囲気に、
遠い歴史をまさぐりながら空想して歩くのも楽し
いものである。法蓮格子の建ち並ぶ一軒に,「散
華美術館」が目に止まった。この辺りは殆ど「見
学は予約」になっている。暮れの押し迫ってから
たぶん無理だろうと思いながら、そっと引き戸を
引いてみた。カタカタと軋みながら戸が開いた。
 「お休みのところすみません。予約しておりま
せんが拝観できますか」と、恐るおそる聴いてみ
た。「どうぞ」と、気さくな声が返ってきた。館
長さんは私達と同世代の女性。沖縄から一人子供
を抱えて、この地へ出てきた。仏様の導きかもと
・・・。絵を描きながら生計を立ててきたと言う。
色んなお宝が自然に集まり、癒しを求めて他人様
が寄ってきて下さる。我欲では興らない現象なの
である。二月堂への日参は欠かしたことがないそ
うで、仏様との道はどこかで通じ合っているもの
だと、人生哲学を熱く語って下さった。
 館内は狭いが、いっぱいの散華である。様々な
ドラマが詰まっている散華。東北の津波で亡くな
った天使達の散華。あどけなさに熱いものがこみ
上げてきた。心温まる話を聞きながらお茶を勧め
られた。鉄瓶のお湯で韃靼茶、沖縄の黒砂糖の甘
さにピッタリだった。疲れも邪心も吹き飛んでし
まった。散華の美しさと、素晴らしい人の出会い
に、暫し酔うている。奈良きたまち慕情は終生忘
れないだろう。
 卓上に「富士山に梅」の散華を飾っているし。
しょぼくれた私へ、今年もパワー全開で頑張れと、
喝を入れられている。                 浩子
線さくら3 (2) 
レックスとコロナ
 
               images (Custom) 
                                福寿草     むねお・撮影
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       柳壇・こぼれ花 № 18-4
こぼればな3

羽博いてみよう余力のあるうちに

   荻野 浩子 (堺市)
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音楽のようなあなたの罵詈雑言

   山口 亜都子 (三重・御浜町)
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父さんの風邪もらうわけにはいきません

   西澤 知子 (橿原市)
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メビウスの帯と気づいてから焦る

   板垣 孝志 (大和高田市)
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折らないでください大切な夕陽

   句ノ一  (伊豆の国市)
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木から落ちる戦後七十年のさる

   ひとり静 (大和郡山市)
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やるなあと思う手書きの年賀状

   毛利 由美 (つくば市)
こぼればなillust444
とげとげも愛おしいではないですか

   上田 ひとみ (三田市)
こぼればなillust444
ひたすら闇を埋める山茶花

   森吉 留里惠 (柏原市)
こぼればなillust444
欲深な昨日を忘れた手帳

   山崎 夫美子 (大和郡山市)
こぼればなillust444
ドキドキの根っこにあった四季の歌

   久保田 眞子 (土佐市)
こぼればなillust444
火吹き竹余生の夢を焚きつける

   佐藤 辰雄 (奈良・川西町)
こぼればなillust444
写メールに雪は静かに降り続け

   日下部 敦世 (松戸市)
こぼればなillust444
凡人は苦労話を溜めている

   那須 鎮彦 (五條市)
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俎は野望など持ち合わせない

   南 芳枝 (五條市)
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彷徨うてたどり着いたる麦畑

   鶴本 むねお (下市町)
こぼればなillust444 

     
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       レックスとコロナ  板垣 孝志


 私が最初に購入した車は、スバルレックス36
0CC。昭和47年の秋だった。その当時、軽四と
言えば「スバル」の時代で中古車ながら故障もせ
ずよく走るいい車だった。
 ところがある日、いつものように出勤しょうと
車に乗ったのだが、エンジンがかからない。バッ
テリ-が上がった場合とは違い、まったく機械的
に反応をしないのである。
 一旦諦めてアパートの一室に帰ると、妻が陣痛
を起こしている。慌てて車に乗せて産院に走った。
 後で気がついたのだが、車はいつものように一
発で始動して、いつものように走り、その後一回
も故障で動かないことはなかった。
 あの朝エンジンが始動しなかった訳は未だわか
らない。もう一台不思議な働きをしてくれた車が
あった。こちらはコロナ。
 走行距離10万キロを超した中古で、スレーキ
を踏むと車体が左側にまがるくせがあり、オイル
も漏れていた。それでもなんとか走行できたし、
特に問題はなかった。
 その頃、島根の実家の父が倒れて入院となった
ので、奈良から島根まで、長時間かけて帰省。
 帰省してからも病院と実家の間、往復80キロ
を往復の毎日。やがて父の容体も安定したし、そ
ういつまでも日雇いの仕事を休むわけにもいかず、
後ろ髪を引かれる思いで奈良に向かった。
 車には実家の米や野菜のてんこもり、車のトラ
ンクから、後ろの座席にまでお土産を積み込んだ。
出雲側から広島に抜ける山道を走り、中国道の三
次から大阪経由の道をコロナは走り続けた。
 当時の文化住宅の前に帰り着いて、山ほどの荷
物を家に運び込み、さて駐車場へ行こうとしたが、
車はまったく動こうとしない。
 翌日、車を診に来た修理業者は「この車が走っ
ていたとは信じられない」と首をかしげるだけだ
った。
 精魂が尽き果てるまで頑張ってくれた車だった。
レックスもコロナも手放す時は丁寧に洗ってやっ
た。たとえスクラップにされようともせめてもの
お礼に。
                  孝志

    イラスト (28)

車の調子が悪くって、ブログ更新チョット遅れました<(_ _)>



















  
プロフィール

よしのすぎ

Author:よしのすぎ
 柳壇【こぼれ花】

連絡先・奈良県吉野郡下市町
☎・FAX 0747-52-0132
  鶴本 むねお 


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